本日、映画批評用のネタ+出演している「松岡茉優」ちゃん目当てで、カンヌ国際映画祭にて
最高賞のパルムドールを受賞したことでも話題になった、「海街diary」や「そして父になる」でも有名な是枝監督の最新作です。
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今作と直接的な関係はありませんが、作品に共通する日常的な風景にある中にある種の特殊な状況下を作って、その中でも人間の生き方や考え方を通して、私たちにも何か考えさせられるような物語という意味では一見しておく価値はあるかと思います。
映画「万引き家族」について
映画情報・キャストなど
監督・脚本・編集 – 是枝裕和
柴田治:リリー・フランキー
柴田信代:安藤サクラ
柴田亜紀:松岡茉優
柴田祥太:城桧吏
ゆり:佐々木みゆ
柴田初枝:樹木希林
上映時間:121分
あらすじ
以下引用のあらすじ
東京の下町に暮らす、日雇い仕事の父・柴田治とクリーニング店で働く治の妻・信代、息子・祥太、風俗店で働く信代の妹・亜紀、そして家主である祖母・初枝の5人家族。家族の収入源は初枝の年金と、治と祥太が親子で手がける「万引き」。5人は社会の底辺で暮らしながらも笑顔が絶えなかった。
冬のある日、近所の団地の廊下にひとりの幼い女の子が震えているのを見つけ、見かねた治が連れて帰る。体中に傷跡のある彼女「ゆり」の境遇を慮り、「ゆり」は柴田家の6人目の家族となった。
しかし、柴田家にある事件が起こり、家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれの秘密と願いが次々に明らかになっていく。
というあらすじになっています。
まず、インパクトのあるタイトルが入ってきますよね。「万引き家族」なんてタイトルにした思い切りのよさはすごいです。だって万引きって言葉自体が当然犯罪行為ですし、
このタイトルで敬遠してまう人もいるのではないかと思ってしまいます。
当然、私自身も観る前に「大丈夫か、この映画?」というような先入観を持ってしまいました。
実際にあった事件をベースに作られた作品のようで、是枝監督自身も構成に10年かかったと言われている大作です。
以下、ネタバレありでの簡単なストーリー紹介と批評・感想・レビューを記載していきたいと思います。
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ネタバレありでのストーリー紹介
簡単ではありますが、本作品のストーリーについてを覚えておる限りで紹介していきます。
※順番や多少内容が違う場合もあります。記憶頼りに書いています。また文章的にもわかりづらいかもしれませんのでご了承ください。
起
出典:映画『万引き家族』より (c)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
父親の治(リリーフランキー)と息子の祥太(城桧吏)はスーパーに来ていた。2人は慣れたコンビネーションでお菓子やらカップ麺やらを万引きする。
家に帰る際に、いつも通るアパートに女の子が外に出されて廊下で佇んでいるのを発見する。
その日が初めて見たのではないのと、冬空の寒さに心配したため家に連れて帰ることに。
家に戻ると、妻の信代(安藤サクラ)は問題になるから返してこようと言う。しかし、祖母の初枝(樹木希林)は怪我を発見。
不信におもいながらもその家まで治と連れていくも、その家はその女の子の父親らしき声が女の子の母親らしき女性に暴力をふるっているかの声を聴く。
結局、それを目の当たりにした信代はその女の子を家に連れ戻すことに。女の子の名前はゆり(佐々木みゆ)という。
承
出典:映画『万引き家族』より (c)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
家族は非常に貧しい暮らしをしており、父は日雇い労働、母はクリーニング工場、親戚の高校生の亜紀(松岡茉優)はJKマジックルーム?のいかがわしいお店、祖母は年金受給、息子は学校に行かずに万引きをしている。
匿っていた女の子にも治や祥太は万引きを手伝わせたりした。父親いわく居場所を作ってやるためだという。
テレビでゆりのことが報道され、行方不明という大騒ぎになっていたが、捜索願が出されていないことから両親による事件とも報道されていた。この日からゆり(本当はじゅりという名前だったが)新しい家族として「りん」と名前を変えることになる。
亜紀はエッチなお店にいつも来て指名をしてもらう4番さん(池松 壮亮)と初めて面と向かって合うことになり気になっていた。また、お店での名前は「さやか」と名乗っていた。
祖母の初枝は元旦那の新妻の息子家族の家を訪ねていた。その娘の名はさやかで、もう一人の娘の名は亜紀。更には帰り際に「少ないですが」と金銭らしきものを受け取る。
信代は職場の工場から同僚の二人で呼び出しを食らい、どちらかが辞めてもらいたいと言われる。同僚と話し合うことになるが、信代がゆりのことを見たから言わない代わりに辞めてと頼む。信代は条件をのむが「分かったけど、しゃべったら殺すから」と言い職場をやめることに。
ある日ゆりと祥太は駄菓子屋でいつものように万引きをする。その際、ゆりに万引きさせる。すると店のおじさんから声をかけられる。「この駄菓子やる。」そう言ってゼリーを2本渡すと「これ(万引きのこと)は妹にはやらせるなよ」と言われてしまう。
この日を境に次第に、自分のしていることは正しいことなのか疑問を持つようになる祥太。
夏になったある時、家族みんなで海に行くことになる。その際に祖母は言う「血のつながりがないからこそ、本当の家族になれるのかもねえ」その言葉を聞いた信代は海で遊んでいる家族のもとに駆け寄る。その光景を見ながら、祖母は音にならない声で言う「ありがとうございました。」
そして、ある朝祖母が亡くなりました。悲しむ亜紀やほかの家族。しかし、火葬するお金がない(おそらく死亡したことにすると年金が貰えない)と言うと、治はその祖母を庭?にような場所に掘った穴に埋めて皆に「いいか?俺らはもともと5人家族だ」と言う。
おばあちゃんの年金をおろして、信代と祥太は帰り道でコロッケを売っている売店から「お母さん、買っていきな」と言われる。それを聞いた祥太は「お母さんて言われて嬉しい?」と聞く。
治の行為はエスカレートしていき、車上荒らしを行うようになっていた。それを祥太も手伝うがやっていることに疑問を持ち始めた祥太。
転
出典:映画『万引き家族』より (c)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
そんな家族に終わりは突然訪れることに。祥太とゆりはいつものようにスーパーへ。
自分が盗むからゆりに待っていろと伝える祥太。しかしゆりは一人で勝手に万引きを行おうとしていた。それをかばうようにわざと店員にわかるように万引きを行い逃げる祥太。
祥太は逃げる途中にけがをしてしまう入院+警察の事情聴取を受けることに。当然保護者として呼ばれる治と信代。
しかし、焦った様子の二人は家から荷物をまとめて夜逃げのような形で家を捨てようとする。そこを捕まえられた形になり、警察の事情聴取をそれぞれが受けることに。
当然、ゆりをかくまっていたこと(はたから見たら誘拐)や万引き行為、初枝を埋めたことによる死体遺棄で逮捕されることに。
ここから、家族の真相が明らかになる。
夫婦は、結婚しておらず、元居た旦那を信代(名前は違う)が殺しており当時働いていた店の客で会った治(本名はしょうた)と初枝の家に住まわせてもらっていただけ。
息子の祥太もパチンコ店から誘拐?してきており、ゆりも同様である。亜紀は初枝に声を掛けられ一緒に住むことになったが、大好きだった初枝が自分の両親に合っていたこと、お金をもらっていたことは知らず。裏切られたと感じたのか、初枝のことを自供する形に。
死体遺棄についての罪を全部被ることにした信代は事情聴取で聞かれる。
「おばあちゃんを捨てたんですよね?」→「違う。拾っただけ。誰かが捨てたのを拾っただけ。」
「本当にお母さんにでもなりたかったの?」→「どうだろうね。ただ、子供は親を選べない。」
結
祥太は施設に行き、ゆりはもといた両親のもとに戻ることに。亜紀はみんなが住んでいた家に訪れる。
治と祥太はこれから懲役5年の罪を受けることになる信代に会いに。その際、自分がどこでどういう車から連れていかれたのかを説明する。「この子には本当の家族が必要なんだ」と。
一人暮らしを始めた治の家に泊まる祥太は聞く。
祥太「あの時僕を捨てようとしたの?」
治「そうだ。父ちゃんじゃなくこれからはおじさんに戻るな。」
おそらく、自分の家(施設?)に戻ろうとするバスを乗り出発する祥太。そんな祥太を必死に名前を呼び追いかける治(しょうた)
家に戻ってきた、ゆりは相変わらず親から冷たい態度をとられていた。(おそらく虐待も続く?)そんな、ゆりは連れ去られた廊下にでて一人で遊んでいると、ふと誰かが来たように手すりから顔を出すゆり。誰か来たのか、誰かを待っているのか。そんなゆりの表情でこの映画は終わる。
ネタバレありの個人的批評
※まずこの映画は見る人や立場によって見方はすごく変わる作品だと思います。そのためあくまで私個人の感想ですので参考にしていただければ幸いです。
評価点
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ストーリー ・・ 60 点
映像 ・・ 60 点
演出 ・・ 70 点
音楽 ・・ 60 点
キャスト ・・ 80 点
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総合 ・・ 65 点
総評コメント
「人は一人では生きていけない。どんな繋がりでも支えあうことはできる。ただしそのやり方や方法は考えるべきである。」
ネタバレあり感想
最初にいっておきますが、この映画は娯楽作品として観る(私の様に松岡茉優ちゃん可愛い目当てとか)と痛い目をくらう作品であるということです。
もちろん、松岡茉優ちゃんの演技は自然体で素晴らしいものでしたし、水着や制服であらわになるその胸(結構ある)は喜ばしいものではありましたが
それよりも映画の内容が、心にずしんと来るような、重い内容であることで観ていて疲れてしまうくらいです。
内容について
基本的に前半パートでは、ゆりという新しい家族を中心に非常に貧困な家族の万引きなどの犯罪行為やその日暮らしの生き方を見せられ続け、どちらかと言えば貧困世帯で育った私もなにか他人事に感じないような息苦しさのようなものを感じました。
かと言って、この家族のやり方は決して査定できるものではなく、れっきとした犯罪行為なので、それを息子(ではないんだけど)にさせているあたり胸糞の悪さも感じましたし、そんな貧困な状態なのに、可哀そうという理由でゆりという女の子をも匿ったりとかなり常識を疑う行動なので、結末を見るまでは正直見ていて不愉快になるような内容でした。
また、是枝監督作品の特徴なのかもしれんせんが、物語の進行ではっきりとした説明がなく、最後の結末につながるために演出だったとはいえ登場人物の日常的な会話のなかのヒントを基にこの家族のつながりや関係を考えないといけないので、個人的にその点も嫌な点でした。
ただ訳アリそうな家族の犯罪ありきの日常パートは正直かなりきつかったです。。
しかし、当然そのような(疑似)家族の生活は長くは続かず、それぞれが本来の居るべき場所に帰っていきます。
見る人によってとらえ方が変わる作品ですが、個人的にこの作品のテーマは「家族以外の他人との絆は生まれるのか」なのかと思います。また、それぞれの登場人物が本当の家族からは何かしらの問題を抱えています。本当の家族といることが一番幸せとは限らないといったところでしょうか。(是枝監督はなんかしらのトラウマがあったのかなとか思ってしまいます)
作中、祥太がスイミーのお話をたびたび、治にします。
以下スイミーのあらすじ引用
ちいさな赤い魚の兄弟たちのなかで、1匹だけ真っ黒の魚の「スイミー」
大きなマグロがやって来て、兄弟の魚たちを飲み込んでしまいます。逃げられたのはスイミーだけ。
けれど、海の中にはくらげやいせえび、いそぎんちゃくなどいろんな生き物がいます。そんな中見つけた、スイミーにそっくりな小さな赤い魚たちに「遊ぼう」って誘っても「大きな魚に食べられるから」と岩陰から出て来ません。
スイミーは考えて・・・皆で大きな魚のふりをして泳ごうとみんなを誘います。赤い魚たちの中でスイミーは目になって、みんなで力を合わせ大きな魚を追い出しました。
まさに、このスイミーこそその作品を表しているの思いまして、一匹だとなにもできない小さな魚(それぞれの登場人物)が仲間と群れをなし、大きな魚(現実社会)と戦うために協力しながら生きている。
治に関しては、金銭的な部分で初枝や信代と一緒に居たかもしれませんが、最後に祥太に対して本当の家族になりたかった様子や信代が罪を全部被ってでもおつりがくるくらい楽しかったと言っているように、それぞれ利害関係はあったけれども、本当の家族の様に思っていたし、それぞれが絆を感じていたのだと思います。
なんていうか、終わりかたも決してハッピーエンドではないし、これから祥太やゆりも亜紀も幸せな人生が待っているとは限らないし、かと言ってこの疑似家族といることも決していいことではないと思うし、なんだが非常に後味の悪いお話でもあります。ただ、これって実際、貧困な家族もいるわけで設定としてはもちろんフィクション寄りではりますが、現実問題ない話ではないんですよね。。
そうした社会的な格差ってますます広がるように思えますし、ある種の現代社会におけるメッセージ性は非常に強い作品の様に思えました。
まとめ
やはり究極お金って大切だと思ってしまいました。この家族の様にその日暮らしの生活ってなかなか抜け出すことは難しいと思いますし、なにより本当の家族がいた場合、苦労をさせるわけにもいかない。いまだ独り身の私ですが、改めて家族を持って生きていくことって責任重大だし大変なことだなと思ってしまいました。
世の中のお父さん、お母さんたちって本当にすごいですね。そういった意味だと貧乏ながらも人並みに生活させてもらったことを改めて親に感謝しないといけないなと感じます。
この作品の場合、対照的な家族の見せ方で、
・愛はあるけど、血のつながりやお金がない
・お金や血のつながりはあるけど、愛がない
で見せているため、より厳しい現実感が出てしまっているので、やはり家族を持つためには、金銭的にも愛情もどっちも大事。とか勝手に解釈しております。
ともあれ、色々考えさせてくれるという意味では非常に見て意味のあった作品でしたが、映画館でその世界観に入ってみると非常に疲れてしまう。そんな映画でした。
ゲーマーのリョウ
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