(当記事は2021年03月03日に作成されました。)
メインで楽しんでいるストリートファイター5が大型アップデートされいよいよ最終シーズンと呼ばれる佳境に入っておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
新たに追加されたVシフトによってコマ投げにかなりのリスクが伴い意気消沈気味なさわかぜです。
突然ですが、趣味として楽しんでいるテレビゲーム。今でも心の底から楽しんでプレイできていますか?
よく大人になったら
「昔ほどゲームを楽しめなくなった。」とか
「ゲームをしている時間が無駄に思えてきた。」とか
大人になってしっかりと社会的労働を行うようになった人たちはこんなことを言ったりします。
仕事が忙しくなっていき、昔は何の苦痛でもなかったキャラクターのレベル上げや全キャラの最強装備をそろえるためにしていた素材集め、格闘ゲームのコンボを覚えることやプラチナトロフィー獲得のための周回プレイ。
こんな時間のかかる作業を社会人になったことで無意味に思えたり時間の無駄使いと思ってしまったりしていないでしょうか。
もし、仕事に追われながら、家庭に追われながらでもこうしたゲームの『無駄』かもしれない部分を楽しめているとしたそれはとても素晴らしいことであなたが
『内的動機づけ』(後述します)によって心からゲームを楽しんでいる証拠です。
ゲームに限らず、昔は心から楽しいでいたことなのに大人になってしまうと「時間の無駄だ」と感じることは多くあると思います。
友人とアニメや好きなアイドルの話をファミレスで時間を忘れて話したり、放課後やりたいゲームをするためだけに少ないおこずかいを財布に入れて片道30分以上かかるゲームセンターにいったり。
ふと、そのころ熱中していた場所やものの片鱗に触れると
「あの頃はよかったな。」
なんて思うことはないでしょうか。今回はそんなゲームに限らない「やりがい」があったものがなぜ「楽しくないもの」になってしまったのか、社会人になったりするとなんでそうした『無駄』を楽しむことができなくなってしまうのかを心理学的な仕組みを用いて書いていきます。
モチベーションの原動力とは?行動のきっかけを知る
行動きっかけの原動力ともなっている内発的、外発的動機づけという言葉をご存じでしょうか?今回のテーマである内発的動機づけ、外発的動機づけについて簡単に説明していきます。
動機づけとは英語でmotivation(モチベーション)のことで人が何かの行動を起こすときにされるエネルギーの源のことです。
『内発的』動機づけとは、外的な報酬や賞賛に影響されることなくその行動自体を自ら率先して「行いたい」から行動することです。
報酬の発生しない、いわゆる無償の趣味というものがこれに該当します。
例えば、作りたいから料理を作る。ただうまくなりたいからスポーツやゲームをする。上りたいから山に登る。
などといったことです。
これとは逆に『外発的』動機づけとは報酬や他者からの承認を得ることが前提で行う行動です。
例えば、仕事がなんかがわかりやすく基本的に仕事は給料という金銭の報酬によって成り立っています。
また、料理や旅行でもツイッターやインスタに写真を載せて「いいね」を集めること自体が目的であったり、スポーツやゲームも行うことで周囲からの賞賛を得ることを目的とされる場合はこちらの外発的動機づけに当たります。
どちらもうまく両立している場合もあるし、大きな目標に作ってそれに向かって行動を行うという達成動機というものあります。
試験に合格したいから勉強する。ランクを上げたいからゲームをする。こういったものが達成動機です。
行動の多くにはこのような何かしらの動機づけによって決定されています。
報酬の有無で楽しさ、やりがいは変化する
こんな動機づけ(モチベーション)のことを知ってまず思いうかんだのは勉強と仕事です。
勉強は『成績』という数字に定量化されます。 優秀であると親から褒められ先生から認められ周囲から認められます。
場合によってはおこずかいやおやつが貰えたかもしれません。
当然、仕事においても優秀であれば社内でも重宝されお給料アップにつながり、それは『年収』という形で数値化されます。このように我々の行動の多くは外的な報酬により縛られています。
このような内的、外的な動機づけの仕組みを知ると振り返ってみても、成績をよくしたいから勉強する。年収を上げたいから仕事をする。人たちより、勉強そのものや仕事そのものを楽しんでいる人のほうが結果的にいい成績を収めたり仕事で評価されていたりしている気がします。
注目したいのがこの外的な報酬はもともとの内発的な動機づけによるやりがいを減少させるのがわかっているということです。
ここでご紹介したいのが、アンダーマイニング効果と呼ばれるものです。
アンダーマイニング効果とは
もともと内的動機づけが高かった、やりがいや楽しさのあったものに外的報酬が発生することでその行動が報酬を得るために行動にすり替わってしまい徐々にやりがいが失われていくことです。
例えば、いろんな物事を知りたいという勉強がもともと好きで行っていた子供に報酬を与えてるとそれが報酬を得るための勉強になったり、
スポーツやゲームも同様に報酬が発生するとそれが得るための行動になってしまい楽しくなくなってしまったりします。
よく好きだったことを仕事にしたら好きなことが好きでなくなってしまった。などはよく聞く話でこのアンダーマイニング効果が大きく関わっているのかもしれません。
大人になってもゲームを楽しむためには
アンダーマイニング効果から直接的に報酬に関わっていない趣味はこれに該当しないため基本的には楽しめるものですが、逆に外的な報酬がないということによって
報酬がないものへの行動力がなくなってしまい、「ゲームしてても意味ないんじゃないか?」となるのではと考えました。
少し話が逸れてしまいましたが、それでは大人になってもゲームを楽しむためにはどうしたらいいのでしょうか。
ない頭を使って必死に考えました。私的な結論は
「無駄かもしれないことでも、とにかく楽しむ」
ことでないかとしました。「え?根本的な解決法でもなんでもやんそれ。」
と思う方のが多いかもしれませんが、この動機づけの原理を知ってるのと知らないうえで行う行動では全くちがうものだと思っています。
ゲームを手段にしていた自分自身
自分の話になってしまいたいへん恐縮なのですが、私はもともと対戦系ゲームが好きです。
格闘ゲームが中心ですが、動かせないキャラクターが自分のコントローラー操作で超必殺技を出したり、動画で見ていたあのコンボが実践でできるようになったり、徐々に対人戦でも勝てるようになってきたりともともとそういった部分が好きで好きでやっていました。
学校では友達も少なく、大きな食堂で多くの集団を横目に一人安いうまくもないラーメンをすすっていたって帰りのゲーセンでセビキャンウルコンを決めれば学内の誰よりも強いじゃないかって思えたり、仕事がうまくいかない日にだってスマブラで友人に勝つことで自信が持てるようになっていたり色んな場面でゲームに救われていた気がします。
しかし、SNSやYoutubeを始めたことで自分の中である意味でゲームが一つの外的報酬を得るための手段になってしまっていたのかもしれないと気づきました。ランクを上げることでSNS上でいいねをもらうこと。ゲームの配信を行うことでYouTubeの再生数や登録数を気にすること。これは外的動機づけにつながってしまうことです。
しかし、本来の楽しみかたはゲームそのものを楽しむことでした。アンダーテイルのPルートエンディングを見たとき、APEXで友人とチャンピオンを取れたとき、心の底から「ゲームって楽しい」と思えている自分がいたのです。
何かの目的にしたり比べたりにするのではなく、その「行動自体を楽しむ」
大人になると多くの行動が外的な報酬によって引き起こされる行動がほとんどかもしれません。給料を得るために働く。世間体を得るために結婚をする。いいねを貰うために旅行をして美味しいものを食べる。
どれも決して悪いことではないと思いますが、こうした外的な動機づけは報酬を得るためだったり他者から認められたい。という自分以外の他者の存在に依存してしまいます。
しかし、あの頃の何にもなり得なかったけど、大好きなポケモンのレベルをマックスまで上げたり、ファイナルファンタジーの最強武器を全キャラ集めてみたり、友達にはできなかったコンボができるようになったり、そんな気持ちを忘れているのではないでしょうか。
大人になっても純粋にゲームを楽しんでいる人も多いかもしれませんが、現代はインターネット、SNSの普及で他人と比べてしまうことも多くあります。
多くの人から賞賛を受けるプロゲーマー、圧倒的人気を誇るストリーマーやゲーム実況者、自分よりもはるかに速くランクを上げていくプレーヤー。
APEXやDBDなどのゲームも普及もあってゲームにおいても、ポイント制のランクマッチやレーティング、配信の視聴者数や登録者数で嫌でも他者と比較してしまったりして数字に追われることも多くなってしまっているのではないかと思っています。そうしたことって気にしないでも気にしてしまうよう人間はできています。
そんなときは、少しでもそれ自体を楽しんでいる「自分」に目を向けましょう。
「前はできなかったことができるようになっているなあ」
「このボスめっちゃ強いと思ってたけど楽に倒せるようになってる自分ってすげー」
「こんな素敵なストーリーのゲームをやった自分センスあるやん」
私も格闘ゲームのランクマッチをしていてなかなか成長していないような気分になって負け続けていやになったりするときもありますが、コントローラーを変えたり戦い方を変えてみたりしてなるべく変化を楽しむようにしています。
覚えてほしいことは人は外的な報酬によって行動そのものへのやる気や楽しさが失われてしまう可能性がある。ということです。
時には目のまえの『ただ楽しいだけ』に夢中になるのもいいのではないでしょうか。
さわかぜ
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